はっしーの日記

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視力検査の「なんとなくでも分かれば答えて下さい」の意味とは?!

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こんにちは、はっしーです。

雑記の間に真面目な記事も挟みこむスタイルになってまいりました😊

さて、タイトルにあります"視力検査の「なんとなくでも分かれば答えて下さい」の意味とは?!"ですが、臨床現場で日々視力検査を行う視能訓練士から解説させていただきます。

皆さんは眼科で視力検査を受けたことがありますでしょうか?

眼科での視力検査では多少掛け声のニュアンスの違いがあるものの「なんとなくでも分かれば答えてください」と言われることがあります。

その言葉の真意についてまとめていきます。

一般的な「視力」の意味

そもそも視力検査で測っている「視力」とはどんな指標なのでしょうか?

一般の方々の考える視力というのは「どれだけ小さな字を読めるか?」であったり「どれだけ遠くが見えるのか」とイメージされるのではないでしょうか?

読むことが可能な最も小さな文字を識別する能力は最小可読域と呼ばれます。ひと昔前まであったひらがなを読むタイプの視力表であったりが最小可読域の検査となります。

ひらがな視標でも視力値がだせますが、「た」や「の」といった全く違う文字で読みやすさに強弱がついてしまうと思いませんか?実際に「あ」や「め」が出たとしてそれを判別できるかを評価するのは大変難しいでしょう。

では昨今で主となる穴の開いた輪っか(ランドルト環(かん)といいます)の視力は何でしょうか?

ランドルト環視力が示すもの

輪っかの視標、ランドルト環がで重要なのはズバリ切れ目です。

この環や切れ目は厳密に計算され、その視角から0.1や0.8といった聞き覚えのある視力値を算出できるようになっています。

この切れ目の幅が判別できるギリギリのラインのことを最小分離域といいます。少し難しいですが、「2点もしくは2線が分離していると判別できる能力のうち、もっとも小さな(細かな)判別が可能な範囲」を指します。

ランドルト環はこの最小分離域を求めるのに適した形であるとされ国際基準となっています。

「なんとなく」は「適当」に答えていいものではない

なんとなくという言葉のニュアンスが伝わりにくいのですが、決して適当に答えて当たれば良いというものではありません。

最小分離域を用いた視力検査というものは分離が分かる最小径の視標を探す作業になります。ですので、判別可能なギリギリラインまで答えてもらうことで再現性のある閾値(視力)となるわけです。

検査をしていて、あまりに適当感のある回答をされる方には「なんとなく」というより「「かろうじて」「こっち(方向)のように感じる」ような方向を教えてください」と言い直すこともあります。

まとめ

以上、今回は視力検査の「なんとなくでも分かれば答えて下さい」の意味を考えてみました。

実際に視力を測るとなると最小分離域では「2点もしくは2線の判別がかろうじてできる」といったものでしたが、最小視認域という「1点もしくは1線が判別がかろうじてできる」というものがあったり冒頭で述べた最小可読域というものが存在したりします。

視力の種類も一般的な遠くの視力表で測る遠見視力検査から特定の近距離での視力(近見視力)や字のつまった視力表での字づまり視力、単一の文字記載ある視力表を用いる字ひとつ視力など多岐に渡ります。

そういったニッチなところはまた、いずれ、書けたらいいなと思っています。

記事を読んでいただいた皆様、ありがとうございます。今後は視力検査での視標回答は「なんとなく」「かろうじて」「ギリギリわかる」ところまで答えて下さるようにお願いします。

まとめてしまってますが、あと少し、視力検査では眼は細めないように、また、瞬間的に答える(即答する)には避けてくださいね(その理由ももいずれ!!)

参考:日本眼科学会 視力検査の基礎と臨床

hashico.hatenablog.com

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